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絹糸は繭から作られます。 その繭は天の虫・蚕(カイコ)が作った自分の家です。自分自身を守る蛋白質の天然繊維、それを人が利用させてもらっています。その自然の長い繊維の状態で、今、可能な限り自然な形で製糸さんに糸にしていただき (四条繰座繰製糸や横挽き座繰製糸)、その糸をねん糸して、全国各地の染織をなされている方達に絹糸を届ける仕事をしています。そして、繭からの実際の糸作りや真綿作り、 真綿からの糸作りなど、繭の事、虫の事も含めて原点の事を知っていただき体験していただく事も私の大切な役割り、そんな気持ちでこの絹糸の仕事を続けていきたいと思います。絹糸の「より」、その使い方も含めて、染織家の方々に絹糸を提供する仕事に携わっている。さらに現在は、途絶えかけた竹筬の復活と技術の伝承を目指して「日本竹筬技術保存研究会(通称竹筬研究会)」を主宰している。個人的レベルでは、撚糸器を初めとする各種織り道具の開発、職人技術の伝承と継続を目的とした活動してます。


工業用と手織り用の糸の違いとその手法
業用の生糸(絹糸)は力織機(動力織機)用と手織機様に区分出来ますが、着物の世界に限定致しますと動力か人の手かという事では分けきれません。ジャガードを動力で動かす手織り、西陣織や博多織の世界です。ただ、原則的には力織機には、工業的に製糸した生糸を使用します。すなわち上州式や諏訪式の座繰糸方式は、力織機では織れない、織りづらい、また糸に太細や節があり、繰糸する人の個性が出る糸や、真綿紬糸といった絹糸を使用する事で、力織機では製織出来ない手織りの世界を生み出します。


3〜5粒の繭 あげずば織
現在の普通繭の太さ(デニール)は約3D(デニール)、細繊度繭では2〜2.5Dです。(1Dは9000mで1gの糸)3粒繰糸は3×3の9D、5粒は3×5の15Dです。業界の最細繊度生糸が14D、最近8〜9Dの製糸を研究開発中です。3〜5粒の繰糸が個人で可能な理由は、道具の改良と発想の転換です。日本の生糸は、21〜42D規格の繊度小枠繰糸機、大枠再繰(綛上げ かせあげ)した原糸を撚糸業者が関わり、小枠→合糸→撚糸→綛上げ→精錬→染織→製織で布帛(ふはく)になります。