戻る 次へ


また別の方法として、1度に合糸の必要でない太さに小枠繰糸後、管巻きし、撚糸する方法や大枠で直接繰糸する方法がアジアには残っています。それは、モーターを付けた綛上げ機で、 業界のプロでも不可能な極細生糸を個人で製糸可能なのは、道具の機能が技術をカバーし、勝っている結果と言えます。自分で繰糸した未精錬の原糸を、撚りなしのまま草木染色し織り上げた布が 「あげずば織」、もっと太く繰糸し撚糸もしない未精錬の経糸と少し糸艶のある精錬糸風の組み合わせで織れば「正倉院の錦」や「桃山の練貫地」になると思います。

7粒の繭は工業用生糸、14〜15粒の繭は手織り用生糸
繊度(太さ)感知器の開発により、自動繰糸機が可能になりました。繰糸する糸が、細くなると感知器が働き、繭糸を1粒追加し、設定した太さで自動的に製糸されます。昔は定粒繰糸と言って、 人が粒付けを管理し太さを一定に出来る事が技術でしたが、今の自動繰糸では、センサーが21D・27D・31D・42Dと規格の太さに管理しています。しかし、今でも諏訪式や上州式の座繰 り方式の人の手作業による生糸も残っています。効率も考えますと、21Dや27Dの細い生糸よりは生糸ならば42D以上、玉糸なら60D、110Dといった太さが主流で、結果太い・細いの 繊度偏差も大きくなりますが、太い分だけ効率第一ではなく、ゆっくり繰糸しても良く、風合いの良い手織りにとって味のある糸が作れます。

絹が輸出品としての基幹産業だった頃、そして現在の助成金頼みの現状について
明治後半から大正にかけて輸出産業だった生糸も、今では99%以上中国及びブラジル等の輸入、国産繭による生糸は国内商品の1%にも届きません。繭代金200円/Kgの約80%が助成金、それ を3年間で助成金0%という自立のシナリオです。蚕種(卵)生産者→養蚕農家→製糸業→小売業といった一連のグループ化で日本の製糸を守ろう、残そうという活動ではありますが、助成金が0に なった時の国際相場の生糸と日本生糸との3〜4倍の価格差は、国産ブランド生糸というだけでは埋めきれない問題です。手織りの世界でも大変ですが、力織機では限りなく残る事は不可能に近いと 考えています。

竹筬を復活させる意義
筬には、竹筬と金筬があります。金筬は、スピードと効率を要求する力織機や手織りでも経糸密度の粗いマフラーなどが適しています。