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撚  糸

撚糸とは、糸に撚り(より)をかける事、または撚りをかけた糸の事を言います。「撚る」とは、ねじりあわせる事です。「糸に撚りをかける」事は、糸自体・糸を使って作られる繊維製品等にとって重要な役割を持っています。
例えば繭
長繊維である絹は、撚りをかけなくても糸として使用出来ます。
絹は、一般的に「製糸原糸」を目的の織物に合わせて合糸する事で、糸の取り扱いを容易にしています。
また、合糸する事で織物の風合いや地風が増してきます。
つまり
繭から繰糸した糸は、極めて細く、そのままでは糸としては使用する事は有りません。この細い糸を、何本かを束ねて撚糸を掛けます。ばらばらになって扱いにくい生糸の束に軽く撚りをかけると、 丈夫な一本の糸として使えるようになります。撚糸は、このような簡単な目的の為に行われました。
例えば木綿やウール
短繊維である「木綿やウール」は、紡績工程で必ず撚りをかけて糸にしなければなりません。
木綿やウールは紡績工場で必ず撚りをかけ糸にします。その時点で、撚糸は特殊な場合を除いて、ほぼ規格の撚り方と撚り回数に仕上がります。しかし、絹糸の撚糸行程は、「撚糸業」という小さな工場で、時によってはオーダーの撚糸をする場合が有ります。これは、絹が着物や帯といった少量多品種で価格帯の高い商品に使用されているからだと言えます。 しかし、昨今この様なオーダーで個性を出す事の出来る「撚糸業」という職種は少なくなりました。
木綿や毛糸は短繊維のため、撚りをかけて糸になります。しかし絹は長繊維ですので、撚りのかからない絹糸の生糸原糸で製織し、布の状態で精錬したものが羽二重、糸精錬し、染織した後に製織する先染め織物の場合は撚糸が必要です。駒による駒撚りも和楽器の弦の世界では残っています。