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媒 染 剤 |
媒染は、染色の過程で染料を繊維に定着させる工程です。媒染を必要とする染料を「媒染染料」、媒染に使う薬品を「媒染剤」といいます。(ウコンやキハダ 等の媒染を必要としない染料も有りますが、天然染料の多くは媒染を必要とします。)また、染料に浸す前に繊維を処理する「先媒染」、染料に漬けてから処理する「後媒染」、染色と同時に媒染処理する「同時媒染」に分類されます。そして、浸染では水溶液から繊維に吸収させて使用し、捺染では捺染糊に混ぜ印捺を行います。(浸染と同様に繊維に吸収させ、捺染糊で部分的に媒染剤を取り除き染色する方法もあります。)
媒染を必要とする染料を「媒染染料」・媒染に使う薬品を「媒染剤」と言い、古くから媒染剤として藁・椿・ヒサカキ 等の灰汁(あく)・鉄奨・泥 等の天然素材を使用していました。媒染剤の効果は以下の様になります。
代表的な媒染剤としては、アルミニウム・クロム・鉄・スズ・銅 等の金属塩類やタンニン酸 等があります。媒染剤の分類としては、有機媒染剤として、タンニンやチオフェノール 等が使用されます。無機媒染剤としては、アルミニウムイオン・鉄イオン・クロムイオン・銅イオン・スズイオン・ニッケルイオン 等が使用されます。主に、二クロム酸カリウム・塩化鉄・塩化スズ・ミョウバン・硫酸銅・酢酸銅・酸アルミニウム 等が使用されています。伝統染色では、天然材料である鉄漿や灰汁 等を使用します。 1)動物性繊維(絹・羊毛 等)を染色する場合には、蛋白質を主成分とした繊維に付いた色素を覆うように封じ込め色落ちを防ぐ。 2)植物性繊維(綿・麻 等)を染色する場合には、繊維を覆う蛋白質の助剤と色素の間に入り込み染料を定着させる。 3)同じ染料でも使用する媒染剤で発色が変化し、可溶性の染料分子が繊維の中で不溶性になり、繊維の中で水に溶けない状態へ変化する事で色落ちし難くなります。 |