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青 森 

津軽こぎん刺し

江戸後期から、青森県津軽地方に伝わる伝統的な刺し子模様です。 その時代は、農家では目の粗い麻布でできた着物で農作業をしていました。農家の女性は、古くなったりした着物の荒い布目に刺し子をさし、保温性・強度を高める工夫をして いました。その刺し子は、ひし形を主とした幾何学模様で「津軽こぎん刺し模様」と呼びました。刺された模様は、藍と白の生むコントラストと模様の美しさがあります。
ー こぎん刺しの種類 −
1)西こぎん
弘前市西側の西目屋村・旧相馬村・弘前市船沢地区・弘前市小沢地区近辺で作られています。山に入って重い荷物を背負う 作業に耐えるよう肩に縞模様の工夫をしています。黒糸と白糸で交互に刺した五段の縞があり「縞こぎん」とも呼ばれています。 また、模様が細かく色々な模様を刺すには、 麻布が緻密で手間がかかる事から「晴れ着」に使われました。その精密さから津軽地方では「嫁をもらうなら西から」という逸話があります。
2)東こぎん
弘前市東側の黒石市・旧尾上町・旧平賀町・弘前市石川地区などで作られています。太目の麻糸で織られた布に刺した刺し子が多く、模様は縞がなく、全体に大柄なものが 多いのが特徴です。
3)三縞こぎん
旧金木町を中心、旧木造町、旧車力村で作られ、鮮やかな太い三筋の縞模様でデザイン的に優れたものが多いのが特徴です。 この地方は、冷害や凶作が多発した地方の為、生活の余裕が無い事 等の理由から現存数が少なく貴重です。


南 部 裂 織

着古した着物や布を再生する「機織りの技法」による南部地方の織物の一つです。細く裂いた布を横糸、木綿糸を経糸(たていと)にし、地機で織った布を裂織と呼びます。丈夫で温かいく、カラフルな色合いと複雑な機上げが特徴です。農民の暮らしから生まれた素朴な「さきおり」は、選択された経糸と偶然を待つ緯糸との交錯による微妙な色合いは、全く不思議でかげり深く、このような配色は他の染織工芸品にはみられません。現在の生活の中でもいろいろな作品となって今も受け継がれています。
南部地方は、北前船が日本海側中心であった事から古手木綿入手が難しく、明治26年に鉄道開通以降に本格的に入ってくるようになりました。そして経糸にも木綿糸を使い、炬燵がけや帯を織りました。経糸の木綿糸は、もめん屋で麻布(ののと言われました)と物々交換して入手していました。当時、木綿糸はカナと呼ばれ、糸といえば麻糸のことでした。