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2)生葛を煮ます。 乾燥を防ぐため葛束を水に漬けておきます。葛束が十分入る大きさ器に水を8分目入れ、沸騰させ、束を入れて上下を返しながら20分程煮沸します。そして、黄変し出したら湯から出し直ぐに水に晒します。 3)室に寝かせます。 ススキなど色素の出難い草を敷き、その上に葛束を並べ、周りを厚くススキの葉などで覆い、菰をかぶせ、石で重しをします。この状態で4〜5日おき、発酵が終わり葛の表面が容易に剥がれたら室から出します。 4)丸洗いします。 発酵した葛の表皮を洗い落とし、黒い斑が残らないよう十分洗います。葛束を解き、外皮を剥がし靱皮と木質部の「わた」を落とします。 5)袋抜き 葛蔓を下方へしごくと靱皮が木質部とが分離します。靱皮の先を引き延ばし纏めます。(葛の元と先を混ぜない)乾燥した葛の繊維を裂いて、「苧結び(おむすび)」という独特な結び方で糸を結んで行きます。 6)苧洗い 乾燥した葛を解いて水に流し、先端から振りながら洗い靱皮が割れないように纏めます。 7)苧の乾燥 竿に干し、半乾きの状態でしごき、絡みを解いて乾燥したものを葛苧と呼びます。 8)葛つぐり 葛苧を巾1〜2mm位に裂いて元と先の部分同士を機結びで繋ぎ、一本の葛糸に必ず根から先端へと方向を合わせます。結ぶときは糸の端を唾液でぬらしながら行い、結び目の端から出た部分は鋏で切ります。結んだ糸は、 桶や新聞紙 等の上に輪をかくように重ねて行きます。このとき一番下の糸端(元)が分かる様に少し桶から出しておきます。苧桶が一杯になったら裏返し、別の桶または新聞紙 等の上に移します。そして、大豆や小石 などを入れ、糸が絡まないようにします。この葛糸を「つぐり棒」と呼ばれる丸いはし状の棒に8の字をかくように巻き、指4本ぐらいで3ケ所を横に止め巻きします。 9)製織 葛布は平織りで、縦糸はシルク・麻・綿 等を使用します。杼は葛専用で、舟形をしているのが特徴です。この杼に水につけ固く絞った「つぐり」を入れ機にかけます。筬羽は斜めに倒し、軽く寄せるだけです。また、 葛糸は激しい操作を嫌いますので昔から手機で製織し、「しけとり」という「ひげ」を取る作業を行い、「砧打ち」を施し練りと照りを出します。 |