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愛  知

有松・鳴海絞り(ありまつ・なるみしぼり)

愛知県名古屋市緑区の有松・鳴海地域を中心に生産される絞り染めの名称です。江戸時代には、 絞り染めの生産の中心は有松地域でした。有松は、旅人の停留する宿場で無かった為、東海道五十三次宿場である鳴海宿で販売していた事から、江戸では有松絞りも鳴海絞りと呼ばれていようです。しかし、 有松は知多郡・鳴海は愛知郡に属して全く別の地域となります。有松絞りと鳴海絞りは、現在でこそ「有松・鳴海絞り」として一括して伝統工芸品に指定されていますが、江戸時代より互いに本家争いや販売、 訴訟合戦を繰り返し、戦後に友禅の人間国宝山田栄一を鳴海絞りの人間国宝にしようと運動が行われた際には、有松側から横槍が入ったとの逸話もある程です。 木綿布を藍で染織する事が代表的で、模様については他の生産地と比べようもない多数の技法を持っています。絞(括り)の技法は、100種にも及び多彩な文様が表現されています。最も代表的な絞技法には縫絞 (ぬいしぼり)、くも絞、三浦絞、鹿の子絞、雪花絞(せっかしぼり)等があります。藍染めの絞には、絞りのときに出来る濃淡に、独自の風合いがあります。 図案どおり型紙を彫り、絹、綿等の布に下絵刷を して、その布を糸で括(くく)り、染め上げます。糸で括られた部分には染料が乗らないため、糸抜きをすると様々な模様が浮かび上がります。なお、これらの作業はすべて分業化されています。絞り染めの生産 額は「京鹿の子絞」が全国第1位であるが、木綿絞に限ると 90%以上のシェアを占めています。従って、有松・鳴海絞は浴衣地が有名です。

ー 伝統工芸品としての特徴 −
・縫絞にあっては、次の技術又は技法によること。
(1) 下絵には、青花等を用いること。
(2) くくりは、平縫い、山縫い又は巻縫いによること。この場合において、くくり部分は、均一に引き締めをすること。

・巻上絞にあっては、次の技術又は技法によること。
(1) 下絵には、青花等を用いること。
(2) くくりは、平縫いにより引き締めをした後、「巻上げ」をすること。

・皮巻絞にあっては、次の技術又は技法によること。
(1) 下絵には、青花等を用いること。
(2) くくりは、平縫いにより引き締めをした後、防染部分に「皮包み」及び「巻上げ」をすること。