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2)綿紡ぎに関して 徳川家康は、家臣団に対して『戦陣に出たら俸米も完全に渡せない事がある。その時に困らぬよう嫁に木綿作りを勧めよ。嫁を娶るなら機織りの出来る嫁とせよ』と木綿製品で生計を補うように奨励 していました。江戸幕府令も『男ハ作ヲ稼ギ、女ハオハタヲ稼ギ、夜ナベヲツカマツリ……』とあり、昔から糸紡ぎ・機織は主に婦女子の手によって行われていたと推察できます。当時は、現金収入 の少ない農家にとって有力な現金収入源であり、また物々交換の有力な商品でもありました。したがって、婦女子の糸紡ぎ・機を織る事は、裁縫・料理よりも重要な役目でした。 3)糸紡ぎの手順としては 1、種分け よく乾いた実綿を「綿繰り台」に通して綿と種を分ける。種は袋に詰め、時々干して播種まで保存する。 2、綿打ち 「綿打ち弓」にかけ、絃を小槌で打って振動させ綿の繊維を極細に捌きほぐして柔らかにする。 3、紡ぎ 十分に打ち上げた綿を、細い竹管に巻きつけて綿筒(しのまき)とし、これを「糸車」でコヨリを掛けて糸とする。 4、綛繰 出来た糸を「綛作り具」で綛にして、撚戻しないように瞬時ゆでて一旦乾燥し、糊付けや染色して竹竿にかけて干して乾燥する。 5、枠巻 「枠巻台」で「糸枠」に経整経用に小割する。 4)経糸・整経に関して 1、経糸を整える 長さに応じて数本の棒を立て、棒に糸の端を結び、交差しないように次々棒に掛けて行く。手前の2本の畦棒に、糸を1本づつ交互にS字と逆S字掛け畦をとる。 畦の前後に2本の棒を入れて、交差した部分を挟んでおく。 2、筬通し 織幅に応じて、経糸1本1本を綜絖紐と筬に通す。 3、経巻具 丁寧に櫛で整えながら経巻具(チキリ)に固く巻き取って織機にかける。 |