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図案に合わせた絣計算の手法は、「絣帳」として代々受け継がれてきました。その内容は、デザイン画を 書きつけ、その絣計算を割り出し、糸の本数や括り方を書き溜め、実物を小切れにして張り付けてあります。絣の型紙は、渋紙を使用していました。絣文様は、花鳥風月や 魔除け長寿を願う文様が主流となっていました。着物柄は、井桁を小さくすると成人向きになるという特徴を持っていました。また絣は、地方によって文様が異なり、久留 米絣・伊予絣・備前絣 等があります。
絣の種類
・経絣(たてがすり)
糸で縛って防染するなどの方法であらかじめ染め分けた絣糸を経糸に使用する。
経絣は、絣のもっとも原初的な形です。経糸のみで絣を表し、緯糸は無地のままです。その原型は、フィリピンで椰子の繊維で織られた「イカット」と呼ばれます。柳宗悦 が絣の生まれたきっかけを「経糸を染めるとき同じ色を染めるものについて綛(かせ)をつくるが、その際、束ねた部分が染まりにくいことがある、その欠点を逆に利用し て柄にしたのが絣ではないか」と書いているそうです。
・緯絣(よこがすり)
絣糸を緯糸に使用する。
緯糸のみを絣にして模様を表し、経糸は無地のままです。久留米、伊予、山陰各地の絵絣・大島紬の緯総(よこそう) 等です。そして、伝統的な絵絣は筬台(絵台、絵図台 )という道具を使って織り上げます。
・経緯絣(たてよこがすり)
絣糸を経糸・緯糸の両方に使用する。
経糸・緯糸それぞれに、防染した部分が正確に交差しないと模様になりません。大島紬・結城紬 等の紬です。
・上記の併用
久留米絣の「十字絣」です。十字のタテ・ヨコ線をそれぞれ経絣と緯絣で織り、交わった部分だけ経緯絣になるようにし、交わった部分だけが真っ白く抜けて、柄に奥行きが 出ます。出来上がった模様は、完全な白ではなく、白と地色の中間色になります。経緯絣は交わる糸が白く出来上がりは白になります。
・その他
絵画的な柄を織った絵絣(えがすり)や、さらに高度な綾織り、浮き織など様々な組織織(そしきおり)の「風通織」など高度な絣があります。このように絣は、初期の斑点 文様の飛白から発達し、花鳥風月の絵文様が入り、経絣、経緯絣、絵画文様、幾何学文様の組み合わせへと移り、矢絣や経緯幾何学文様へ時代変遷とともに変化します。 そして第2次世界大戦以降には、絵絣、経緯絣に戻り発展していきます。