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西 陣 織

西陣織りとは、京都市の「西陣」において製織された高級絹織物の総称であり、特定の織物を意味するものではなく、生産される先染の紋織物の種類はきわめて多くを数えます。また、日本を代表する絹織物産地「西陣」は、 フランスのリヨン、イタリアのミラノと並び世界的高級絹織物産地として名声を誇っています。また、西陣は世界でもまれな織物の産地でもあります。数多くの名品と呼ばれる作品を織り出し、常に日本の紋織技術を リードし、1000年以上にわたって織物を織り続けている産地は他にはありません。そして、京都の宮廷文 化に育まれた優れた意匠感覚と、長い歴史に培われたものづくりの技が、今日の西陣の発展の基礎になっているといえます。
しかし、、応仁の乱後に西陣織は大きな発展を遂げますが、明治時代になり遷都によって天皇とともに多くのお客さんが離れてしまったことで、西陣織に大ピンチが訪れ、それを乗り越えるために取り入れたのがジャカードと呼ばれる西洋の技術です。その手法は、タテ糸とヨコ糸が直角に交差し、模様や風合いを織りなす生地を織物と定義付けますが、その織物の中でも糸を先に染めて織り、柄を表現するのがジャガード織りという西陣主流の技法です。ジャガード織りの柄表現 は、白生地を後から染めたりプリントしたりする後染めの織物と比べ、深みのある高級感漂う表現力が特徴です。
(西陣とは、応仁の乱時に西軍(山名宗全側)が本陣を置いたことにちなむ京都の地名。この織物に携る業者がいる地区は、京都市街の北西部、おおよそ、上京区、北区の、南は今出川通、北は北大路通、東は堀川通、西は千本通に囲まれたあたりに多い。応仁の乱を期に大き く発展したが、応仁の乱より昔の、5世紀末からこの伝統が伝えられている。また、「西陣」と「西陣織」は「西陣織工業組合」の登録商標。)

「手順・紋織」
・織ることに決まった図案を方眼紙に写し取り配色を決めて「紋意匠図」を作る。
・使用する糸を選び終わったら紋意匠図をコンピューターに入力。かつては人間が厚紙に糸の位置を指定する穴を開けていた。
・必要な糸をそろえたら「整経」といって縦糸を織機にかけるために整え、横糸を通す杼が通るための「綜絖」(そうこう)の準備をする。
・「製織」織機で織物を織る。
・爪掻本綴織は、普通の織り方と違って横糸を一気に通さず、縦糸数本ごとに掬い上げていくので糸を締めこむための器具を使わず職人が爪で糸を締めこんでいかなければならない。この作業のため爪掻本綴織の職人は 手を丁寧に手入れしては利き手の爪を伸ばし、それぞれヤスリで独自の刻み目をつけている。手間はかかるが非常に繊細な模様を織ることができるのが特徴で、豊臣秀吉「鳥獣文様陣羽織」の綴織での複製などのプロジ ェクトが現在進行中である。