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茶系の色
樹木の幹や土の色として身近な茶色は、室町時代にお茶の葉の煎じ汁が染料として使われ始めた事で名前が付けられたそうです。お茶の葉で染めた色という事から、 黄と赤と黒の中間色を表しています。江戸時代にお茶で染めた衣服が庶民に広まり、「四十八茶百鼠」として茶色系統が流行しました。しかし、当時は「鶯茶」「青茶」などの緑がかった色の名前にも使われていま した。その状況は、「江戸では抹茶に似た色、京坂では煎茶の煮がらしの色をいう」と「日本歴史大事典」に記載があります。古くから茶系の染料は、橡(つるば)・矢車(やしゃ)・胡桃(くるみ)・柿(かき) ・阿仙(あせん)など、タンニン酸を多く含んだ樹皮や木の実を使いました。特に青柿から作る柿渋は、防水・防腐効果があり家屋の木材に塗ったり、漁網に塗って丈夫にしたり、厚手の木綿布に塗って白い濁り のある酒を搾って清酒に加工したり、和紙の染色加工(団扇の文様・包装紙など)や防水にと様々な分野で使われました。

注:柿渋
渋柿の実を青いうちに砕いて絞り、その液を二年あまりおいて自然に発酵させたものの上澄み液を採取して、染料として使います。京都府南山城地方では、茶畑の周囲に柿の木を植えて、お茶の葉に直接日光が当 たるのを 遮ったため渋柿の生産量が多く、木津、和束、宇治田原周辺には現在でも渋柿屋があり生産が続けられています 。


黄系の色
人類最古の黄色い顔料は、黄土として知られ、日本では稲科の刈安などが黄色の染料として古くから使われていました。日本の伝統色名では、刈安色・黄檗色 などが代表的な色調になります。黄系の天然染料は数が多く、イネ科草本の刈安(かりやす)・黄檗(きはだ)、鬱金(うこん)、梔子、支子(くちなし)などから染色されます。