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国産繭がつなぐ着物の未来プロジェクト
| 自動繰糸生糸200中と生糸60中 |
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① 座繰りと自動繰糸 座繰りには上州式と諏訪(岡谷)式、さらに奥州式があります。繭を煮て小枠に巻き取るは同じです。上州式は上州(群馬県)で発展した日本式の繰糸方式、諏訪式は1870年に富岡製糸場に導入された西洋式の繰糸方式を岡谷式に改善したものです。 その岡谷式に回転接緒器や繊度(太さ)感知器を開発して、自動化されたのが現在の自動繰糸機です。同じ座繰りでも上州式と諏訪式の一番の違いは、繳(より)掛け方式(ねん糸の撚りとよく混同されます)で、繰糸時に繭糸を密着させて、繭糸同士の抱合を良くする為の方法です。上州式は馬毛から鼓(つつみ)や鼓車(こしゃ)と繳掛けは変わりました。諏訪式や自動繰糸のケンネル繳掛けはそのままです。結果的に、上州式は扁平な生糸になり、ケンネル式は抱合の良い丸い生糸になります。生糸の格付け検査に抱合があり、抱合の良い丸い生糸は、格付け評価が高く、扁平な生糸は評価が低い糸になります。 製糸工場や力(機械)織機の世界では、この格付け評価の高い生糸が、良い糸という認識があり、6Aが最高格の生糸です。これを手織りで、真綿紬糸使用の染織の着物の世界から見ますと、 ねん糸、精練、染色処理した絹糸では、生糸原糸の抱合や扁平は関係なく、評価の必要はありません。むしろ着物の風合いの観点から見れば、長い距離のケンネル繳は、蚕の8の字に吐く繭糸のウェーブを引き伸ばす、糸同士のしごき合いです。ウェーブによる風合いの良さは格付け検査では評価を致しません。よく言われる「ハリガネ生糸」はこの風合いを考慮せず、効率最優先で自動繰糸された生糸の事で、このウェーブの風合いを減少させる要因は、繰糸時の繭の煮方 (浮き繰り・半沈繰り・沈み繰り)・温度(座繰りは80度前後・自動繰糸は40度以下)・スピード(細い繊度ほど高速になりやすい)・繳掛けや繊度感知器の抵抗・小枠の種類(木製・金属製)・ 小枠から大枠に再繰時の状況(スラブキャッチャー・温風大枠乾燥)といろいろとあります。 座繰りだから、自動繰糸機だからではなく、それぞれの特性や欠点を知り、座繰り生糸、自動繰糸生糸の選択をして、用途に合った、ねん糸、精練、染色、製織して、着物、帯に出来ないといけないと思います。 国産繭・生糸はこの工程の選別ができ、その糸に合わせての加工処理をして、輸入生糸ではできない着物や帯が製織出来ます。「国産繭・国産生糸です」や、織物に表示の「日本の絹」純国産マーク・「日本の絹」マーク・は消費者の皆様にはわかりづらく、むしろ、誤解を与えるマークです。関係者の皆様の正確な説明と広報が必要と思います。 ② 自動繰糸生糸200中 今回、碓氷製糸さんで繰糸頂いた生糸200中と60中は座繰りではなく、自動繰糸での糸です。 もし、生糸200中を座繰り(上州式・諏訪式)ですと、繰糸の目的繊度の管理は、人の経験というセンサーです。自動繰糸ですとセンサーは繊度感知器です。200中生糸の繭付け個数は約70粒、座繰り時の70粒は面積と経験での繊度管理で、その時の緒(いとぐち)の粒付け作業は大変な作業です。今回は初めての生糸200中の繊度感知器での試作生糸です。ねん糸の結果は手応えがありました。生糸200中はいつもの座繰り生糸42中の約5倍の太さです。逆に言えば、5倍速く繰糸できる効率の良い生糸と言えます。その分、繰糸のスピードを落とす事が出来る繊度の糸です。また、200中と42中では小枠繰糸時や小枠から大枠綛糸再繰時の糸の負荷は、太い糸ほど分散され、糸に優しいと思います。何よりの一番のメリットは5倍太い、効率の良さです。そのことで繰糸代金が生糸価格に反映致します。輸入生糸に比べ割高ではありますが、まだ使える価格で、糸質での勝負が出来ます。使えれば、需要も期待でき、それが繭利用につながり、繭・生糸生産につながります。力織機での白生地の視野も、手織りと機械織りの圧倒的な織り代金の価格差は、いくら0.13%の生糸換算で約7トン、7,000kgの糸量は、手織りの世界だけでは使い切れない数量です。 さらに、来年2026年の製糸さんの要望生糸価格は、養蚕農家への繭価格の引き上げ、繭代金の補助金の減少、繰糸代金の上昇で大幅な高騰は避けられません。その結果、国産生糸は輸入生糸の国際相場と比べて、さらに格段に高くなることになり、輸入生糸との価格と質の競争は一層厳しくなります。 今回の国産繭での生糸200中+60中2本合せの糸を着物や帯にした時、輸入生糸に負けないか。それは最終的に着物をお召しになられる方の価格と質の評価で決まると思います。 ③ 生糸200中と生糸60中 今回の生糸の、コピー資料「日本の絹糸A(生糸・玉糸)」での解説 ① 蚕の種・F₁の交雑種 ② 繭の飼育・桑+人工飼料 ③ 繭の保存・乾繭 ④ 製糸方法・自動繰糸(碓氷製糸) ⑤ 製糸の繊度・生糸200中と生糸60中 ⑥ 以下は私の湿式のリング撚糸、生糸200中+60中の2本合糸で、右170回/mの片撚り糸、 酵素精練して、染織家に染織依頼し、その結果を待っています。それを仕立て、 着付けの先生・着物愛好家の皆様の評価を受けるという事になっています。 ④ 生糸200中と生糸60中の今後 今回の着物は200中+60中の2本合せの精練糸のタテ糸は少しタテ密度の高い、鯨寸間55羽、(1cmでは14.5羽)の筬通しで織物設計して染織していますが、50羽(1050本)から55羽(1150本)の筬のタテ糸本数でも良いと思います。10月に生糸200中と生糸60中を各30kg、碓氷製糸さんに発注いたしており、1月には入荷の予定です。そして、ねん糸の段取りです。 ※ この糸での、200中+60中の2本合せの精練糸1.27m/1000回のカセ糸を資料提供(無償) いたします。 ご希望の方はご連絡下さい。 染色とヨコ糸に入れてお試し頂けます。 なお、この糸が入荷し、ねん糸が終わりましたら、未精練糸は24,000円/kg、 精練糸は33,400円/kgでオリジナルの定番糸として販売いたします。 2025/12/25 下村 輝 |
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