戻る 次へ


棉ついての概略

ワタは漢字で「綿」または「棉」と表記します。「棉」は、植物としての状態のワタを表し、 収穫されたタネ付きのワタまでをこの漢字で表します。収穫したワタをワタ繰り(種を取る作業)を行った状態を利用するワタを「綿」と表します。植物としてのワタに「木へ ん」が付く理由は、ワタは一年草ではなく木で、東南アジアでは三〜四メートルに成長するからだそうです。
現在知られている最も古い「綿」は、インダス文明のモヘンジョ・ダロ遺跡において出土された銀の壺に付着していた約4500年前の綿布片で、同時に紡錘も出土 されています。また、南米ペルーのワカ・ブリエッタ遺跡からは、約4000年前に棉の栽培が行なわれていた遺跡が見つかり、棉は新旧両大陸で並行して栽培されていたよ うです。


綿糸・コットン
・棉の構造
棉は、ハイビスカスや芙蓉(ふよう)と同じ薬科の植物で、アオイ科ワタ属で約40種あり、高さ1メートル前後の1年草で 、主として熱帯地方に生息します。種薪きから収穫までは、約4か月から6か月を要します。美しい鮮やかな花が開き、実となり、子房が成長し先端部分にやや尖った直径3セン チの球状が出来ます。これを「コットンボール」と呼びます。コットンボールの内部は3〜5室に分かれ、各室に棉毛が詰まった種が7〜9個人っています。成熟すると各室の境目 が裂け、中から白い棉花が現れます。種子毛で開いた状態が、花のように見える事から「棉花」と呼ばれます。コットンボールから出てきた棉花は、水分を失い平べったくよじ れたリボン状繊維の状態で、長さは2〜4センチ・太さは10分の1ミリほどです。(繊維の長さ・太さは品種によって異なります。)
そして、一つの種子からは無数の綿繊維が伸び、開花後に種子表皮細胞が上へ伸び、この状態を「伸長成長」と呼びます。よく伸びた繊維と短い繊維とに分かれますが 、よく伸びた繊維を「リント」・短い繊維を「リンタ」と呼びます。リントは、細胞壁の「肥厚成長」と呼び、「厚さ方向」へ成長していきます。リントが、棉繊維として紡績 用の繊維としての織物やニットなどに利用されます。リンタは、再生繊維であるキュプラレーヨンの原料として利用されます。

― *注  綿花と糸計算 ―
・1反で100kgといわれるが、7畝の畑では40〜50キロ収穫
・1カセ=200m=綿15g=1スピンドルX3または3.5本
 シャツ(長袖)1枚=30カセ   マフラー=4カセ
・棉の重さ:種入りの場合、綿の繊維は3割
 15gX30X10/3=1.5kg(必要とする棉の量)
 敷布団=綿6キロ  かけ布団=綿4キロ  織物1反=綿5〜700g