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 筬通しの概略
筬通しは、織る目的や糸の太さなどによって複数の通し方があります。
筬目に糸を1本通すことを「片羽」、2本通すことを「丸羽」といいます。他に、筬目に3本通す三刺し(みつざし)や4本通す四刺しなどがあり、糸を入れない筬目を「空羽(あきは・からは)」と呼びます。また、ひとつの通し方だけではなく、複数の通し方を1枚の布に使用することもあります。着物や服地には、丸羽を選びます。筬目に2本の糸が寄り添うので密にしっかりと織ることができます。
綜絖通しの終わった状態のまま、筬通しを始めます。綜絖枠の前に筬を平らの状態で下ろくろ棒の両端に紐をかけ、経糸の通った綜絖糸の穴のやや下にして吊るします。(この位置ですと「あぜ棒・綜絖糸・筬」が見えやすくなります。)
筬通しは、筬の下に約10cmほど経糸を伸ばす余裕が必要です。筬通しの作業中、筬に通した経糸が抜けないように結んでおくためです。綜絖通しの後の経糸の糸端が短い場合には、千巻箱に付いている菊(歯車)を回して経糸を引き出し、長さを調節します。
丸羽の通し方は、綜絖通しで順通しをした場合、綜絖は1 - 2 - 3 - 4の順に通っています。経糸の端から綜絖1と綜絖2の糸を選り分けて、通す筬目に対して直角に置きます。筬通しの凹にへこんだ部分で、筬目に挿し入れます。綜絖3と綜絖4の糸を選り分け、次に通す筬目に直角に置いて、筬通しのへこんだ部分で挿し入れます。粗筬とは違い、本通しは間を空けずに筬に通していきます。 抜ける筬目がないように続けていきます。
順通しで丸羽の場合、1ー2と3ー4が1組になります。また、綜絖通しが他の方法でも筬1目に2本の糸を通すことを丸羽といいます。綜絖通しで2本引き揃え(経糸2本を1本として綜絖糸に通すこと)で通し、筬通しでも2本を1目に通す時でも、綜絖2本引き揃えの丸羽という言い方をします。
筬通しをして筬の下に出た経糸の糸端は、綜絖通しと同様に糸が抜けることを防ぐために、一握りの幅になったら必ず結びます。

=参考=
片羽(かたは)
  
 
筬1目に1本ずつ経糸を通す(引き込む)。  
丸羽(まるは)
 
綜絖に1本ずつ通した経糸を2本一緒に筬目に引き込む。同じ筬を使用しても片羽の倍の密度になる。
混羽(こみは)
諸羽(もろは)
混み差し
 
綜絖に1本ずつ通した経糸を数本(三本混(三つ差し)、四本混(四つ差し))一緒に筬目に引き込む。 
引き揃え
 
数本の糸を合わせて、綜絖にも筬にも一緒に引き込む。(2本取り、数本取り)糸は太くなるが密度は片羽と同じ。 
空羽(あきは)
 
部分的に筬目を空けて引き込む。 

*経糸を込ませて用いるときは必ず糊付けするか、強めの撚りのかかった丈夫な糸を選ぶ。
*経糸を込ませると緯糸の目立ちが悪くなり、経糸の色目の勝った布地となる。また、粗い場合には緯糸が多く打ち込めるために緯糸の色目の目立つ織物になる。