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◎真綿紬糸

 精錬を繭の状態で行いますと真綿になります。中の蛹を取出し、拡げ方によって、角真綿、袋真綿、帽子型の真綿があり、面として大きく 拡げれば真綿布団、糸状に延ばせば真綿紬糸になります。国産の真綿産地は、福島県保原町の袋真綿のみになりました。その20%が結城紬用、 80%が真綿布団用です。本場の結城紬の糸は、保原の真綿を使い、「つくし」という道具に掛けて紡ぎだしますが、結城以外の真綿紬糸を使用 する紬産地は、ほぼ100%中国の工場式フライヤーによる有撚の真綿紬糸で、手間のかかる細い糸は昨年から入荷が不安定で価格も高騰し、 真綿にいたっては以前の倍以上の暴騰で、手軽に手つむぎを楽しめなくなりました。紬産地では、原料高の製品価格はそのままの厳しい状況が今後も続きそうです。  自動化が進んだ生糸は90%輸入でもまだ安定して仕事をしていられますが、手作業による真綿や真綿紬糸をほぼ100%中国からの輸入にた よる現状は一番の問題で、紬生産地の存亡にもかかわります。

◎生皮苧糸(キビソ)糸

 製糸の際に、繭を煮て、緒(いとぐち)を見つけるためにずるずると引き出し1本の緒になるまでの部分が生皮苧、それを撚糸に再繰したものが 生皮苧糸です。生皮苧糸は、精錬すると艶のある風合いの良い糸になります。普通は、精錬せずに裁断して絹紡糸の原料になります。機械製糸工場 が2軒になってしまった現状では、生皮苧糸も希少な糸になりました。

◎絹紡糸と絹紡紬糸

 生糸にできない切繭や出殻繭、生皮苧糸などの副蚕を原料に、木綿や羊毛などの短繊維のように紡績した絹糸が紡績絹糸。上質で少し繊維長の長い 原料での糸を絹紡糸。絹紡糸の一種で、一段質の落ちる短い繊維を原料に紡績した糸が絹紡紬糸。一般に芝市販されている絹の5本指靴下は、この絹紡紬糸を素材に製造されています。